2020年6月10日水曜日

第261回 #stayathome



 2012年春に僕からスタートを切ったこのシリーズも遂に9巡目に突入しました。できるだけpersonalな話を、というスタンスが長続きの秘訣と思います。2020年の話となると、これを避けては通れない、ということで、インスタグラムで、#stayathomeを検索すると、5月末で1512万件の投稿!というすごいことになっています。そろそろ足かせが取れて、stay at homeが解除にならんとしている現在ですが、今日のお話しは、中国地方の田舎都市での#stayathomeのお話し。


1)      お持ち帰り
 週末の夜も家にいる、となると今まで愉しんでいた「お店で飲む」ということが出来ません。我が家は夫婦(と更に子供達も)そろって、美味しいものを食べてそれに合う美味しいお酒を飲む、ということが大好きです。(「あてなよる」ですね!)これは何とかせねば、と思う内に、我が家のheavy rotationの名店(勝手に認定)が、それぞれ「お持ち帰り」と称して、店の料理の詰め合わせや弁当形式の料理を持ち帰ることを始めてくれました。渡りに船、とはこのこと。和食、割烹、ワインバー、スペインバル、などなどそれぞれに工夫をこらして、楽しくて仕方なかったのですが、なかでもダントツのNo.1認定は、昭和町にある、とある「名店T」の「酒の肴セット2020−コロナに負けるな−」です!この店では、いつもは2人でカウンター右端に位置して眼前のご主人の料理の蘊蓄に耳を傾けつつ、おまかせの料理とお酒を頂くのですが、この折り詰めがただ者でなかった。写真ではぎっちりと料理が詰め込んであるだけに見えるのですが、実際に見るとそれぞれの料理がきちんとセパレートされて折り重なり、20品あまりの「どれも酒が止まらないものばかりです!」という危険なあての詰め合わせ。添えられた品書きを読みつつ、家内と「うわーっ」と歓声を上げたものです。風呂あがりにパジャマを着てこの名店の料理を味わえる喜びも5月一杯か、と思うと、(お店には申し訳ないけど)少し残念。子供達2人とやった「オンライン飲み会」(コンピューターとスカイプ使用)では、ちょっと遠慮して、お持ち帰りランク2位のワインバーのお料理にしましたとさ。(こちらもすごい内容なんだけどねー。)


2)      刑事コロンボ
 自宅にいる時間が長いとDVD見るのもなかなか良い時間つぶし。ある日NHK-BS3で古い「刑事コロンボ」シリーズをやっていて、久々に見るとなかなか面白い!よく考えると家に刑事コロンボシリーズ全45話の5巻のDVDがあるではないか。「ブログ刑事ぼろんこ」という身も蓋もない名前のホームページを参考に、色々と見てみました。第1話は、「殺人処方箋」という精神科医が犯人の作品でなんと1968年(50年以上前!)のもの。だいぶ古い描写があったり、やたらタバコを吸うヒトが多かったり(コロンボ自身も安葉巻吸いっぱなしだけど)、この時はコロンボ自身も41歳だそうで、まだ髪型もかわいく(?)例のよれよれコートは着ていない。数多い中には駄作もありますが、殺人のトリックの秀逸なものとか、犯人の追い詰め方が見事なものとか、見所満載ですね。でも1)のお持ち帰りを食べつつ2人で見て最も楽しかったのは、むしろ「小ネタ」です。中でも名作「逆転の構図」で見られた、浮浪者に慈善の食事をふるまう教会のシスターとコロンボの会話が最高。コロンボの事を完全に浮浪者と思っていて、「兄弟よ、何も恥ずかしいことはないのです・・・。」「丁度良いツイードのコートがあったでしょう・・・。」と自慢のコートを取り上げられるところでした。刑事だと打ち明けたら、「では、変装をされているのですね!」と感心しきり。コロンボの愛犬、おぼれていたところを助けたらしいバセットハウンドのその名も「ドッグ(わんこ、ですね)」の登場場面と並んでおもわず拍手、の場面でした。
 でもほぼ見尽くして、やはりダントツのNo.1認定は、1973年の第19話、名作「別れのワイン」ですね。ワイン作りをこよなく愛する犯人の主人公とコロンボが何となく心を通わせるところが素晴らしく、最後に逮捕されてコロンボの愛車、プジョー403カブリオレ(名車だけど、やはりボロボロ!)のなかで、コロンボが選んだ「別れのワイン」を味わった犯人が口にする、「コロンボさん、よく勉強されましたな!」という最後の言葉がとても印象的でした。


 とんでもない災厄である新コロナウイルスですが、このようなstay at homeの機会を与えてくれた事だけは、ひとまず感謝して筆をおきましょう。

院長 武田 昌