2019年4月10日水曜日

第232回 62cm

 2012年春に僕からスタートを切ったこのシリーズもとうとう8巡目に突入しました。継続は力なり、と言いますが、まあそれぞれが自分勝手に好きなことを書く,と言うスタンスが長続きの秘訣でしょう。それでは、いつもに増して勝手な事を書き綴りたいと思います。

 さて、62cmとは何か?これは実は僕の頭囲の実測値です。最近では皆さん小顔になり、日本人男子の平均は57cmあたりでしょうか?スレンダーな女性のウエストがだいたい60−65cmあたりかな?モデルさんなどの「公表値」は大体実測+5cmくらいと踏んでいますが、(こういうのもハラスメントか??) あの「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リーのウエストは49cmだったそうです!驚異的ですが、実際の画像を見ると納得しますね。そこでこの62cmはそれよりも13cmも大きいのですから、かなりの巨頭です。ま、チコちゃんには負けますが・・・。

 それではここからようやく本題、「被り物」のお話しです。僕は若いときから帽子が好きでしたが、こういう事情(巨頭問題?)のため、なかなかfitする帽子がなく、昔はnet shopping等もありませんでしたので、気に入る帽子を被ると言うことは不可能でした。それが最近になってnet上で調べてみると、ちゃーんとあるではないですか、62cmが。ただし、やはりXXLなどというちょっと恥ずかしいようなサイズ表記です。それにもめげず、去年の10月頃にふとした出来心で、ネットでフェルトの中折れハットを買ってしまいました。ハンフリー・ボガートなどが被っていたあれですね。ボルサリーノという超一流の老舗のお帽子を買ってみると、持った瞬間その軽さに驚いてしまい、被った時の積極的な気持ちよさは今まで経験のないものでした。でも、これを被って「世の中に出る」のはなかなか勇気がいることです。

 というわけで、そこからすこし被るのにハードルの低いのを探して帽子遍歴開始。まずハンチング(鳥打ち帽)を、前後逆に被る、”back to front”っていうやつから。ツイードやフェルトでなかなか良い感じです。メーカーはイギリスのKangolなどなど。そして遂にベレーにたどりつきました。先のKangolのミリタリーベレーから、伝統のバスクベレーへ。フランスとスペインの接するあたりにあるバスク地方に古くから伝わるバスクベレーは、頭を覆うという機能がシンプルそのものでとてもしっくりきました。調査開始してすぐ、1800年代からあって、伝統を守っているメーカーとして、フランスのLaulhere(ローレール)とスペインのErosegui(エロセギ)の2社が判明。61cmのXLでうまくfitすることが分かり、フェルトの黒と茶、更には春夏も使えるコットンニットバージョンなどなど、次々にポチしてしまいました。(←家内あきれる)

 今では、頭に何も被らずに外出するとなんだかしまらない気がして落ち着かない、という境地に達しています。ただ、ベレーのかぶり方の基本として、そのまますっぽり被ると、ほらほら、まるでキノコあたまのようなおかしな状態になってしまいます。両手で内側をぐっと拡げて前から深く被り、ぐいっと(男らしく??) 後ろに倒し、さらに右か左をぐいと引っ張って下ろし、ななめ10度から15度くらい傾けて完成。さっそうと冬空の元に出て行くわけです。右を下ろすのがイギリス式、左を下ろすのがフランス式などとうんちくをとなえつつ、今日も上機嫌で仕事に向かいましょう。
病院長 武田(内科)