2016年2月13日土曜日

第136回 「情熱と人生を捧げたパロネラ」

2016年も2月に入り、暖冬と言えども一年で一番寒い季節になりました。

2015年11月から寺岡記念病院に赴任し初めての冬ですが、広島でも雪が積もるということにびっくりしました!ちなみに私は東北出身(宮城県仙台市)なので、雪は見慣れているはずなのですが、ついついテンションが上がりました。


ところで、、、私の趣味、生きがいは旅行です。
社会人になってからあまり遠くへは行けなくなりましたが、今でも長期休暇には必ず旅をします。
家族旅行、友達との旅行、女子旅、母娘旅、卒業旅行、一人旅、バックパッカーの旅、留学(ホームステイ)などなど、ざっと数えただけでも海外20カ国以上巡ったのが、唯一の自慢かもしれません。(学生時代私は行き詰まるとよく海外へ現実逃避する傾向がありました笑)
海外に行くと、貴重な経験ができるだけではなく、日本の良さを再確認し、日本人に生まれて良かった~と実感します。





色んな旅をしましたが、今回は特に何かの節目の度に思い出す場所をご紹介いたします。

場所はオーストラリア、ケアンズを約100キロ南に位置する町イニスフェル近郊にある古城「パロネラパーク」です。天空の城ラピュタのモデルになったお城とも言われています。




実は私はこの古城を3回も訪れました。

ここで創設者のホセ・パロネラについて一部パンフレットを引用して説明させていただきます。彼はスペインの田舎町に生まれ、祖母が話してくれるお城や貴族にまつわる話を聞いているうちに、いつか自分のお城を持ちたいという夢を持ちました。しかし、実際は貧困のため学校を中退し働くことを課せられ26歳の時に労働者としてオーストラリアへ移住します。その16年後に彼は熱帯雨林の中で滝を見つけ、ここに長年の夢である城を築くことに決め、42歳の時に土地を購入します。馬鹿にされることも多く、挫折しそうになりながらも強い信念と努力で夢を叶えてゆきます。

建築開始から6年後となる、1935年、パロネラパークは遂に完成しました。

その後も度重なる水害や戦争により一度は閉園まで追い込まれましたが、彼が60歳で亡くなった後も後継者によって再建され現在へ引き継がれたと言います。



このパークのキーワードは「夢」なのですが、うっそうと生い茂る林の中を進んで行くと、突如として遺跡が現れ、苔むした城は本当にムードたっぷりで古代にタイムスリップしたような気持ちになります。遺跡に自由に登ったりさわったりすることができるのも魅力的でした。パーク内を歩いていると、パロネラが実現した夢物語、その夢を受け継いできた人々の思いを感じて、なぜか懐かしいような、そして自分もまだまだ頑張らねばと気持ちが奮い立ちます。



小さい時に抱いた夢を実現させ、城の建設に沢山の情熱と人生を捧げたパロネラ。

私も幼い日に医者になりたいと願い、縁あって脳神経外科の道に進み、理想と現実はかけ離れる一方ですが、今も目下修行中です。たまにはつらいこともありますが、これからも諦めずに信念を持って私も自分の夢を叶えてゆこうと思います。 さて、今年はどんな旅をしようか、、、今から楽しみです!




脳神経外科医 久ヶ澤