2014年4月30日水曜日

第74回 「刃物を研ぐ人」

黙つて刃物を研いでゐる。

もう日が傾くのにまだ研いでゐる。

裏刃とおもてをぴつたり押して

研水をかへては又研いでゐる。

何をいつたい作るつもりか、

そんなことさへ知らないやうに、

一瞬の気を眉間にあつめて

青葉のかげで刃物を研ぐ人。

この人の袖は次第にやぶれ、

この人の口ひげは白くなる。

憤りか必至か無心か、

この人はただ途方もなく

無限級数を追つてゐるのか。    (1930・6)




二十歳のころ、私は白凰社の高村光太郎詩集を手にした。以来私のバイブルになった。
ページはセピア色になり、ずいぶん手垢がついてしまったが。

今年に入り、新聞広告のカルチャースクールで「包丁を研ぐ」という講座があり目に留まった。
応募したが、定員に達しないため7月に順延するとのこと↓↓↓。

7月にも応募者が少なければ、年内にはないかも? とちょっと危惧している・・・・・。
私の袖が破れ、口髭が白くならないうちに開かれますように!

神様・仏様・光太郎様・・・そして皆さま、包丁研ぎませんか?
切れ味抜群の包丁で誰か私にご馳走を振る舞って下さい、残さず食べますよ(合掌)。

リハビリ室 木村