2015年10月13日火曜日

第124回 「トムのはなし」

ペナントレースも儚く終わってしまい、カープのことを書こうにも、愚痴と非難と弁護ばかりになりそうなのでやめて、トムのはなしです。

我が家には、 『トム』 という名のもうじき11才になる犬がいます。
種類は、『ウェルシュ・コーギー・ペンブローク』 、足が短くて尻尾がないかもしくは極めて短いやつです。名前が難しい割には結構知名度の高い、地味ではあるがそこそこの人気種です。イケメンのくせに短足で愛嬌があるからか、年令は問わず女性から好かれるようで、散歩をしていてもよく声をかけていただき、無い尻尾を振ってはしゃいでいます。

小生も妻も犬は嫌いで、飼うなんて考えたこともなかったのですが、我が家では変わり者の四女が小学生になったときに、どうしても犬を飼いたいと言ってきかず、しっかり世話をすること、家の外で飼うことを条件にしぶしぶ飼うことになりました。

年賀状で、家族の名前の最後に「トム 2才」と書いて出したら、ある方から

「熊谷さんとこ、6人目が出来ちゃったんですね!」

って、いやいや、子ども5人いれば6人もありだろうと思われても仕方ないのですが、さすがに名前に困っても「トム」はなかろう...。 

案の定、娘は時におやつをやるくらいで、日頃の世話は犬の嫌いな我々夫婦に委ねられました。もとより飼いたくも触りたくもなかったものですから、特別なしつけもせず、散歩と糞の始末と餌やりの日課を朝夕で分担して遂行していきました。幼犬のころはやたらとはしゃいで服を噛みつかれて破けたり、ご機嫌を損ねて手を噛まれたりしましたが、飼っていれば情が移らないわけでもなく、下痢が続いたり血尿になったりすれば、心配して動物病院に連れて行って薬を飲ませますし、台風や吹雪の日にはちゃんと小屋に入っているか様子を見てやっています(日頃は全く小屋に入らないやつです)。

現在のところトムは相変わらず元気ですが、もう2、3年して末っ子が家を出ていくころにはトムも老化が顕著になり、手がかかるようになることが予想されます。外では心配な状況になったら家の中で飼うことにしなければならないだろうか、手間のかかる世話や処置が要るようにならないだろうか、など思ったりします。 

「いぬのえいが」という日本映画がBSで放送されたのをたまたま観て、見入ってしまい、心ならずも計らずも、涙してしまいました。トムの人生、いや犬生を鑑みるに、我が家に飼われて幸せだったのかしら、と思いを巡らし、翌日から少しだけトムのことを可愛がってやろうと思いました。
トムのお蔭で、やむをえず、少しだけ早起きをして、長い距離ではないが散歩ができていることは小生の体調管理に役立っているはずです。

トムくん、ありがとう、これからもよろしく。

時々は、ささみジャーキーをおまけしてやるからね、元気で長生きしろよ。

副院長 熊谷