2014年5月30日金曜日

第77回 「米作り」

この地域にも、お米を作っておられる方もたくさんいらっしゃると思います。
多くの方がコメ作りの大変さを知っておられることでしょう。

私の家も代々米作りや野菜を作って家族で食べていました。両親が亡くなるまでは、手伝ってくれと言われない限り自分から手伝う事がありませんでしたので、コメ作りのやり方は一切知りませんでした。

さあ大変、5年前に両親が亡くなり米作りの事は何も知りません。
ですが、田んぼを荒らしたらいけない、草が生えて隣の田んぼに迷惑をかけてはいけないなどの理由で米作りを継続することにしました。手間暇を考えるとお米を買って食べるほうがずっと安上がりだとは考えましたが。

田んぼをトラクターで耕す事はやっていましたので分かるとしても、苗をどうするのか、苗の品種はなんだろうとか、肥はどうするのか、除草剤はどうするのか、田植えをした後の水の管理はどうするのだろうとか分からないことばかりでした。

1年目、4月頃近所のおじさんに父が作っていた苗の品種を教えてもらい知り合いに苗を作ってもらう事にしました。次に肥料と除草剤・殺虫剤を購入していたところを教えてもらい注文し、肥料屋さんからいつどういう方法でやればいいのか教えてもらい田植え前の準備が出来ました。これだけではなく石崖の草をむしったりやることがいっぱいありました。

そして、田んぼに水を入れ代掻きをするのですが水がたまるとモグラの穴などから田んぼに穴があき水が流れ出してしまって大変でした。昔、父が丁寧に雑なことをするなとよく怒っていましたがなんとなくわかるような気がしてきました。

なんとか代掻きを終え水漏れも少なくなり後は苗を植えるだけですが、植え方も植える量も近所のおじさん方の指導を受けながらとにかく植え付けを終わらせました。

ここからがまた大変でした。朝起きて田んぼに穴が開いていないか見て回り、水がなくなっていないか見て回ったりと油断していると大きな穴があいていたりしました。

川に水がたくさんあるときは問題ないのですが、雨が少ないと田んぼに水がない状態になってしまいます。自然のことなのでどうしようもないことと分かりながらも、これが近所間のトラブルになっていることもありました。

8月・9月になりますと今度は、稲が台風などで倒れないか心配しなければなりません。

それと、イノシシが田んぼの中を走った為その対策もしなくてはなりませんでした。

やっとの思いで10月の初旬に稲刈りを行いました。前年の収穫と比べると袋の数が少ないようでした。初めて自分ひとりでコメを作って収穫をしてみると大変さが身にしみてきます。それとは別に、収穫の喜びとやっと終わったと思う満足感を得たように思いました。

2年目、春になるとまた1年生でした何をすればいいのかな、どういう段取りでしたかなと、近所のおじさんに探りを入れながらやり始めましたが、少し変わってきたのは田んぼに穴があかないようにするにはどうしたらいいか、水の入れ方はどのやり方がいいか、少し考えてコメ作りをやろうと思いだしたことです。

3年目から5年目、少し欲が出てきました。収穫量の事を考えるようになってきました。

近所の人と今年はこれだけ収穫できた、去年より少なかったのは肥料が足らなかったのかなとか一人前の口をきいている自分がいました。

まだ父が作っていた時の収穫量はありません。何かが違っているのでしょうね。

コメ作りが、割に合わないのは実感しました。農機具や肥料・農薬など費用がかさむばかりで大変です。ただ、収穫時の達成感と自分の作った米を毎日食べられる喜びが、また次の年もコメ作りをさせてしまうのかもしれません。

今年も、田植えの季節になりました。今年はこうしよう、ああしようと思いつつ5月の終わりから田植えをしておいしいお米を作ろうと思っています。

放射線室長  鉾崎