2012年10月20日土曜日

第20回 「秋の夜長に」

落ち着いてなにかをするのに、ひっそりと静かな秋の夜は、いちばんいい時期です。

私はパッチワークが趣味です。
夏は汗で布が汚れるし、冬の寒い時期は手がかじかんで仕事になりません。
だから、秋にパッチワークをしています。

古い洋服や着物など、着られなくなったのを利用してクッションカバーや壁掛け、手提げバッグなど、いろいろなものを作っています。
小さな布切れを何百何千も縫って一つの作品ができます。
パターンや色の配色の組み合わせをどうするか、自分のイメージしたとおりにできると、うれしくてたまりません。
好きな画家の絵を見本にして壁掛けをつくることもあります。
小さな布切れの継ぎ合わせで、無限の世界が広がるのが好きです。

できた作品は母や友人たちにプレゼントしています。

「ありがとう、うれしいわ」

と喜んでもらえると、うれしくて次の作品の励みになります。
主人は、

「人にあげてばかりじや、自分の分がないだろう」

と笑います。
でも、作ったものを喜んでくれたり、それでわたしは大満足です。

この秋は飼い犬をモチーフにした絵画風の壁掛けを作ろうと、いま図案を考えています。

秋の夜長のもう一つの楽しみは、ずばり読書です。
夕食を片づけ、朝食の下準備を済ませると、
「しめしめ、これからはわたしの自由時間」とばかりに、読みかけの本、読みたい本を二~三冊持ち出し、居間の大机の上に積み上げて読みふけます。
健康な成人ばかりの生活だから、できることなので家族の人に感謝しています

読みたいものは常に山のようにあります。
いま読んでいる本は『ヘルプマン』という介護の現場を扱ったコミックのシリーズです。
十七巻まで読み続けました。

二人の青年が介護士として、日々成長していく様子を描いた物語で、主人公の二人はピュアではあるけれど、決して問題を簡単に解決できるスーパーマンではありません。

一人は直情径行ですぐに突き走る問題児。しかし、高齢者の抱える現実を理解し受け止めて、その人らしさを取り戻す介護を提供しようとする熱いハートの持ち主です。

もう一人は冷静な理論家。介護現場の醜さと向き合いながら、着実に理想を現実にしていこうとします。

この対照的な二人は、違ったアプローチで理想を追いながら、時に連携して問題解決に取り組みます。二人が厳しい現実に直面して、立ちすくみ、悩み、腹を立てる姿には共感したコミックです。

皆さんも時間があれば読んでみてください。
幸せな気持ちになる読書は、わたしにはこのうえない楽しみと学びと癒しです。

看護師長 持田